こちらからのつづき

一見アイドルバンド的にも見えた5カラットだが、ドラムの人はダウンタウンブギウギバンドにいた人だったそうで、それなりの実力はあったのだろう。さらに構成をよく見ると、ドラム、ベース、キーボード、ギター、ボーカル&サイドギター、そしてパーカッションとなっていて、これは当時のサザンオールスターズと全く一緒だった。ユニットを編成するときに、サザンをかなり意識していたのではないだろうか。

ジンギスカンのカバーが不発に終わった後、5カラットは「ザ・サスケ」というシングルをリリースする。サスケというのは真田十勇士の猿飛佐助のことだろう。




ザ・サスケ

闇を引き裂くその眼 荒れたケモノの匂い
ヤワな男は無用 さらば落ちこぼれたち

何のために戦う ほとばしる汗を見ろ
情熱を抱きしめて 行くぜ地の果てまでも

走れ サスケ サスケ
ケモノと言われても
急げ サスケ サスケ
ただ一筋に

光れ サスケ サスケ
男の一生を
燃えろ サスケ サスケ
炎で焦がせ
(歌詞は聞き取りによる)

ザ・サスケといっても※プロレスラーとは全く関係ありません




sasuke



特撮番組のテーマを思わせるが、この曲は何かの主題歌などではなくオリジナルのようだ。

さらに、(私は現物を聴いたことがないのだが)このとき5カラットが出したアルバムでは、すべての曲で歴史上の人物をモチーフにしていたそうだ(猿飛佐助は架空の人物ではあるが)。つまりボニーMとかジンギスカンなどのドイツのディスコ・サウンド・グループが「怪僧ラスプーチン」とか「インカ帝国」など歴史的な事物をテーマにしていたが、あのコンセプトを拝借して、歌謡ロックで展開したというわけだ。

曲のコンセプトは欧州ディスコ、編成はサザン、ルックスはアイドル、曲調は歌謡曲… と、売れそうな要素をふんだんに盛り込んだわけだが、売れなかったのだ。なぜだろうか。奇抜で安っぽい印象を与えたことも確かだろうが、敗因はそれだけだろうか。

Youtubeで何曲か聴いただけで判断するのもなんだと思うのだが、一番の理由は、なによりボーカルが弱弱しかったからだと思う。すごく下手というのではないが、どこか頼りない印象を受ける。有線大賞での歌唱などバックの女性コーラスに完全に食われている。これじゃ世良や桑田には勝てないだろう。


そのボーカルが今どうしているかというと、ものまね歌手の大御所だそうだ。白倉ヒサオという名前で、矢沢永吉などのものまねに関しては第一人者だとか。私はものまねについては興味がないので、この人のことも知らなかったが、そこまで上り詰めたのなら、よほど努力したんだろうなあ。